支えるもの

しばらく間があきましたが、高橋博巳さんという江戸時代を研究している方の、『画家の旅、詩人の夢』(ぺりかん社)です。
論文集で、江戸時代(18世紀)の画家や詩人たちの動向を論じたものです。もちろん、この時代の「詩人」とは、漢詩を作る人のことです。
表題作は、東北仙台の画家が、長崎で中国人から絵の手ほどきを受けて、京都や大坂で詩人たちとつきあい、そうした若い頃の記憶をもちながら仙台で暮らした人を論じています。
長崎や三都(江戸・京都・大坂)には、そうした知識人たちの集団があって、詩画の世界に身をひたすことができたのですが、仙台ではそれも困難だったと、高橋さんは指摘します。
それは、現代での、各地の文学運動の抱える課題とも共通する点があるのかもしれません。いろいろな社会的な運動の任務も担いながら文学運動を続けている人たちと、当時の各地に散らばっていた詩人たち(備後神辺の菅茶山や豊後竹田の田能村竹田もそうです)と、共通する面もあるのかもしれません。