青い思想(こころ)

斎藤克己さんの、『青い思想』(東邦出版社)をよみました。
1970年代初めの、長崎の浪人の民青同盟員が主人公です。彼は、作者と同じ名前が与えられていて、自分の境遇をマイナスのものと感じています。彼は、3人きょうだいなのですが、姉はもらいっこなのです。父親が戦後最初に結婚した相手との間に子どもがいなくてそのこをもらったのですが、結局は離婚しました。そして、次の再婚相手との間に主人公と妹をもうけたのですが、その妻は精神を病んで、離婚して、男手で3人を育てたというのです。そのことを主人公は気にしていて、民青の活動をしても、そうした闇を抱え込んで、ことあるごとに民青をやめたいというのです。
作品は彼の浪人の1年間をおっているのですが、当時はみんなこんなに難しいことを考えていたのかという感じが最初にしました。いい意味では哲学的といえばいいのでしょうが、主人公の悩みはとても観念的です。でも、同じような時期を描いた作品を思えば(草薙秀一さんのものとか、青木陽子さんのとか)そうした悩みを書くことが、当時の学生運動だったのでしょうか。
ただ、少し予定調和のようなところもなきにしもあらず、でしょうか。
出先で書いているので、とりあえず。