青木陽子さん

遅ればせながら、青木陽子さんの『日曜日の空』(新日本出版社)を読みました。そろそろ現役を引退しようとする3人の女性を主人公にして、現代のかかえる問題点を追求した作品です。いずれも、親の問題、夫婦の問題、子どもの問題といういわば3世代にわたる「家庭」の問題を描こうとしています。
ともすると、日常見落としがちな細かなことが、大きな問題に気づくきっかけになるという感じが、彼女の作品にはあります。かつて書いた短編で、もう題名は忘れましたが、中学受験にのみこまれていく少年を描いた作品が印象に残ります。また、青年男女が同棲をはじめる話もありました。
長編作品で現代を描くときに、こうした群像形式をとるというのは、旭爪あかねさんの『風車の見える丘』も多数の主人公を持った作品でしたが、単一の視点では見えないものを探ろうとする意識のあらわれなのでしょう。それだけ、現代は複雑だということなのでしょう。
難をいえば、最初のころは登場人物の区別がなかなかつきにくかったことでしょうか。やや環境が似すぎていなくはないのです。