旧態依然

岩瀬昇さんの『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』(文春新書)です。
満洲というよりも、戦前の陸海軍が石油に関してどういう方針をもっていた(というよりも無策だった)ことを書こうとしたものです。あまり文章がこなれていないという印象はありますが、戦争に突入する時代の石油確保にかんする当時のひとたちの意識はとらえられているようです。
陸軍が兵士よりも軍馬のほうを大切にしていたということは、さまざまな回想にも描かれていますが、そんな状態では、機械化などどこか別の世界だったのでしょう。マレー半島攻略でも〈銀輪部隊〉などといわれたようですが、これもよくよく考えれば、無防備このうえない作戦でしょう。自転車をこぎながらゲリラ相手に発砲などできるわけがありません。考えるだけで困ってしまいますね。