西に向かう

今年のセンター試験の小説は、井上荒野さんの「キュウリいろいろ」です。ハルキ文庫の『キャベツ炒め…』とかいう作品集に収められているとか。
40年ほどの結婚生活を経て夫を亡くした女性が、夫のふるさとを訪れる場面です。夫婦の間には子どもが一人いたのですが、幼くして亡くなってしまい、それからずっと夫と二人で過ごしてきたというのです。
夫の高校時代の同級生から連絡があり、写真がほしいという話なので、それにかこつけて、彼女は夫の高校のある街にむかいます。西に向かう電車にのって、山に登る人が多い電車だというのですが、それでも都下だというので、そんなところに自転車でまわれるほどの平地があるのかともおもってしまいました。雰囲気はずっと遠くのような感じなのです。
ここ何年か、女性作家の作品が続いています。試験問題になるような、場面の切り取り方は、女性の方がじょうずなのでしょうか。