蓄積と成果

佐藤和彦(1937−2006)『中世民衆史の方法』(校倉書房、1985年)です。
中世史の研究史や動向論、書評などで構成された論集ですが、研究史のまとめが読みごたえがあります。土一揆の研究は戦前からの蓄積のうえに戦後歴史学の成果として広がっていったことなど、日本の歴史学のもつ重みを感じさせるものがあります。
だからこそ、その成果は広く人びとに共有されなければならないのでしょう。民衆のたたかいを教科書に載せたくない検定官や、歴史を物語にしたい〈つくる会〉的な方法論にたつ人たちもいて、そのなかで、どのようにして知るべきことを知っていくのか、そこはこれからの課題なのでしょう。