能天気

内田隆三さんの『ベースボールの夢』(岩波新書)です。
アメリカ合衆国の統合にベースボールが果たした役割を、創造伝説にさかのぼって検証しています。イギリスのスポーツとは違うのだという意識が、ベースボールはアメリカ人の、よくいえばフロンティアスピリット、悪く言えば能天気なマッチョの性質をあらわしているということなのでしょう。
本の中では、南北戦争のときにも、北軍も南軍もベースボールをプレイしていたというのですが、でも、いざプロの組織ができてみると、ナショナルリーグアメリカンリーグも、第二次大戦が終わるころになっても、セントルイスより西にも南にもチームがない状況が続いています。ジャッキー・ロビンソンが人種のわくを打ち破るまで、囲い込みをしていたことも、そうした限られた層のものとしてのベースボールという存在であったことにもなるのでしょう。
そういう「アメリカ的」なものには、よくわからない点も多いように感じます。