秩序ができれば

青木文庫『明治労働問題論集』(1956年)です。
20世紀最初の10年間ほどの、労働者の現状報告と、各地で起きた労働争議の実態とを、当時の新聞や雑誌の記事を集成して編んだものです。
100年経っても日本の企業のブラックぶりはこの当時とあまり変わらないのではないことも思わせるような記述もありますし、長崎端島(いわゆる軍艦島ですよね)の、孤島を使った労働者への酷使のありようの告発など、はげしいものがあります。
一方、労働者の側も、足尾銅山別子銅山、三菱長崎などでの争議の報告もありますが、各地で小さなストライキがおきています。工場労働者だけでなく、女義太夫もストを打ちますし、巡査のストもあったというのです。もちろん、組織化されたものではないので、その後は下火になっていくのですが、労働者が組織化されていくなかで、警察や消防の労働者にはスト権がなくなっていくわけです。そういう意味では、階級対立はなくならないのですね。