地元の名士

千曲山人(1928−2011)の『一茶を探りて』(文藝出版、2005年)です。
長年、地元の俳諧師としての一茶を研究してきた千曲さんの、長野県のあちこちに残る一茶のあとを探訪する記録でもあります。各地に残る遺品などは、当時から一茶が地域では篤く崇敬されていたことを示すようです。
「江戸の大関より土地の三段目」ということばもあるように、お国意識というものの、いい方向への発露とでもいえばいいのでしょうか。過熱しがちなものですから、慎重さが求められるのでしょうけれど、この本は、そこも節度をもっているようです。