ジグザグあっても

金達寿対談集『日本と朝鮮』(講談社、1977年)です。
当時金さんたちがやっていた、『季刊 三千里』誌上での対談が主なのですが、韓国の政権との緊張関係があった時代なので、金芝河が政権から弾圧された問題など、当時の状況が伝わってきます。
その中でも、けっこう切実な話題として複数の人が指摘しているのが、NHKに朝鮮語の講座をひらかせたいということなのです。今のように、ハングル講座は当たり前のようにあり、韓流ドラマがひところほどではないにせよ多くのケーブルも含めたテレビ局で放映され、それをあてこんではいても、朝鮮王朝の歴史について一般向けに書かれた本が出るとは、このころは予想もできなかったことかもしれません。
逆ゆれも当然あるのですが、それでもやはり、韓国・朝鮮への理解は深まっているとはいえるでしょうか。講談社の文芸文庫でも、金達寿の短編集が出たようですし。