口先ばかり

柳田国男 山人論集成』(大塚英志編、角川文庫)です。
単独の著作ではなく、山のひとびとについてのいろいろな言及を集めたものですが、そのなかに、南方熊楠との往復書簡が収められています。1911年のもので、熊楠が神社合祀政策に反対する運動を続けているさなかです。
和歌山県はその合祀に名を借りた自然破壊が激しく、熊楠はそれを批判しています。
このころには、南北朝時代をめぐる教科書の記述をめぐって、北朝を認めない方向へと政権がかじを切ろうとしたときでもあります。日本の現実に根ざした、本当の日本文化など守る気持ちがないというのは、100年後も同じなのでしょう。