てのひらで踊る

吉見俊哉さんの2冊、『親米と反米』(岩波新書、2007年)・『夢の原子力』(ちくま新書、2012年)です。
戦後の日本とアメリカの関係にかんして、文化的な受けとめと、原子力の利用という面での受容とを、分析しています。
福島の事故以前と以後と、書かれた時期は隔たりがありますが、一貫して日本のアメリカ受容のありかたを追うという点では、つながった著作だといえるのでしょう。
今の政権は、アメリカの庇護のもとで偏狭な「ナショナリズム」をあおるという、綱渡りを続けているわけで、そこには、日本がずっと、アメリカ合州国に対してもっている、あこがれにも似た感情に依拠している面があるのかもしれません。「いろいろとはしゃいでも、最後にはアメリカの言うとおりにすれば、安心できる」と、思っているのでしょうか。