助け合い

仁科邦男さんの『犬の伊勢参り』(平凡社新書)です。
江戸時代には、お伊勢参りがはやり、時期によっては抜け参りという、ふっと思い立っての参拝もあったといいます。その中で、犬がお参りをすることが、各地でみられたとのこと。首に名札をつけていると、飼い主の代わりにおまいりをするのだと皆から思われ、お金をつけてあげたり、道中の便宜を図ったりしながら、村から村へと移動していって、参宮を果たしてふたたび村に戻ってこられたというのです。
それを可能にするのは、ある程度の文化と教養が共有されていなければなりません。首に札をつけ、銭もまとった犬が道を歩いていれば、この犬はどこに行こうとしているのかを、みんなが了解していなければならないのです。そして、それを援助する文化がなければなりません。
今とくらべて、どうでしょう。