何でもいいのに

村上春樹さんの、長いタイトルの新作ですが、性的な衝動のもつ意味を少し過剰に表現してはいないかとも思うのですが、主人公の「巡礼」がメインだとしたら、別に鉄道会社に勤務させなくてもいいようにも思います。
もちろん、主人公がヘルシンキや新宿で、駅で行なわれている、日常の作業の積み重ねに意味を持たせようとするのなら、こうした社会全体のインフラにあたる仕事を、主人公にさせるのも意味はあるでしょう。前の作品で、父親が公共放送の受信料の集金で生計をたてていたように。