まぎれこみ

『日本列島 石器時代史への挑戦』(安蒜政雄・勅使河原彰、新日本出版社、2011年)です。
旧石器時代を安蒜さん、縄文時代を勅使河原さんが執筆しています。
いくつかのおもしろいこともあるのですが、縄文農耕の可能性を論じたところで、遺跡からでる植物の痕跡には、コンタミの可能性を否定できないものがあるというのです。それも、ソバがその可能性が大きく、縄文時代のソバ栽培はなかったかもしれないというのです。
そこで、思い当たらなくもないことがあります。食物アレルギーを起こしにくい食べ物というか、食物アレルギーの人が安心して食べられるものの多くは、縄文時代に日本列島で容易に入手できたものが多いのです。ヒエ、キビ、エゴマのような穀物のなかま、ナッツの代表としてのクリ、獣肉類ではウサギにシカ、イノシシ、海獣のクジラにイルカと、いずれも縄文時代に確実に存在していた食べ物です。
ソバのアレルギーが強いことは知られていますが、日本列島に住む人間が食べ続けてきたはずなのに、どうしてアレルギーの原因になるのだろうと、これは不思議に思っていたのですが、縄文期のソバがコンタミで、実際にはもっと遅い時期に食べ始めたのだとすれば、つじつまがあうような気がします。