人情話

池井戸潤さんの『下町ロケット』(小学館、2010年)を読んでみました。苦境にたった東京大田区の中小の機械メーカーが、ロケットの部品の技術をテコに再起をはかるという話です。
もともと『週刊ポスト』誌での連載ということもあって、経営者の苦闘を〈正義は勝つ〉的にまとめています。その点では、今の会社のありようを反映しているとはいえるのでしょう。けれども、やはり今の時代ですから、この会社の生産拠点である宇都宮の工場のラインには、しっかりと派遣社員が配置されています。そこまで良心的な経営者を設定することは、今の時代にはリアリティはないのでしょうね。