動かない

『前田新詩集』(土曜美術社出版販売、2010年)です。
会津在住の詩人、前田新さんの、いままでの業績をコンパクトにまとめた、〈新・日本現代詩文庫〉のシリーズのなかの1冊です。
会津という、ある意味では近代日本のマイナスを背負ったような地域に生まれ育ち、そこで農にたずさわりながら、町会議員もつとめ、社会変革の立場からの発言も続けてきた、そうした重みがあらわれています。その土地に根づいて、どっしりとした重みがあることの意義を考えずにはいられません。全国のあちこちに、そうした営みを続けてきた方がいらっしゃることを、きちんと受け止め、その力を広げていかなくてはいけません。そこに、全国的な文学運動の意味もあるのでしょう。