とらえかた

河野康子さんの『戦後と高度成長の終焉』(講談社学術文庫日本の歴史24、2010年、親本は2002年)です。今回の文庫化にあたって、細川政権から以後のことが、終章として付加されたようです。
このシリーズは、近代にはいると、政治史というか、政界の動きを中心に記述していくようにみえます。もちろん、それはひとつの視点ではあるのでしょうが、特に同時代史をそうした観点でながめると、もっと別の見方があるのではないかとも考えてしまいます。政治家の背後には、かれらを選挙で選ぶ有権者がいます。国会議員の離合集散のうらにある〈民意〉を記述することの難しさはわかりますが、そこを突破するものがほしいところです。そう、いつから日本はこんなに自己責任論が大手をふってまかり通ったり、首長が独裁者になることに拍手喝采するようになったのか、歴史学の立場から研究者には解明をのぞみたいところです。