広くとる

来年、集英社が『戦争×文学』というアンソロジーを発刊するそうです。カタログによると、四六判、各巻640-840ページ、1段組で、全20巻、別巻1という構成になるようです。
短編中心になるのでしょうが、明治期から現代までの作品を収めるようです。6月の第1回配本は、『アジア太平洋戦争』の巻と『ヒロシマナガサキ』の巻で、高村光太郎の「十二月八日の記」とか、島尾敏雄の「出発は遂に訪れず」とか、大田洋子の「屍の街」や青来有一「鳥」などがラインアップにあがっています。
収録作家をみていると、ほうと、思いました。というのは、窪田精、戸石泰一、冬敏之という名前があったのです。以前、講談社文芸文庫が、〈戦後短篇小説再発見〉というアンソロジーを組んだときには、今あげた人や霜多正次、西野辰吉、金達寿のような、民主主義文学同盟に関係した人は全く収録対象外にされていたのですが、今回はそうした人も加わっています。
松田解子や岩倉政治のような人ははいっていませんし、今生きている方は、中里喜昭さんや及川和男さんのような文学同盟から離れた人も、右遠俊郎さんや森与志男さんのような今も文学会で活躍されている方も、リストには見えないというところはありますが、こうした企画がどれほど広がるのかということともかかわってくるのでしょう。
まだ半年先ですが、おもしろいものになってほしいものですね。