動線

このところ、ちょっとした必要から水上勉をいろいろとつまんでいますが、『寺泊』『壺坂幻想』の2冊の単行本収録作品が収められた『水上勉全集』の第24巻(中央公論社、1978年)を、新古書店で税込み105円で手に入れました。端本だとこうなるのでしょうか。
内容は、作者の身辺や経験に材をとった作品なのですが、ほとんどの作品が、若狭から京都を中心にして、ときどきは仕事場のある信州の山荘のあたりとか、出かけていくのが越後の寺泊とか、〈日本海側〉というイメージの強いところです。そこに作家の〈根〉があうのでしょうか、東海や関東の〈明るさ〉とは無縁であるような感じがします。
そこはある意味好き嫌いの分野かもしれません。