切れる

岩波文庫『雍州府志』上巻(宗政五十緒校注、2002年)です。
雍州というのは本来長安を含む地域の名称で、日本では京都を指します。著者の黒川道祐は、17世紀の人ですが、京都近郊を調べ、京都市内のみならず、山城国を含めた地誌を著したわけです。
ただ、校訂を担当された宗政五十緒さんが、道半ばにして亡くなられたので、いまのところ文庫本は上巻だけしか出ていません。
ただ、上巻では山城の寺社がほぼ網羅されているので、そこに意味はあるのでしょう。
そういえば、以前竜安寺にいったとき、枯山水の庭をながめる部屋に、この本の竜安寺の記述が紹介されていました。いまはどうでしょう。
過去と現代とをつなぎ、けっこうおもしろい本ではあるのですが、宗政五十緒さん亡き後、どうするのでしょうね。