傷の深さ

新潮社刊行の『現代ソヴェト文学18人集』(1967年)の第1巻です。
これは、当時マイナーだったソビエトロシアの作家たちの本邦初訳作品をあつめたもので、第1巻にはザミャーチンプラトーノフなどが収録されています。
その中で、パーベリやヤセンスキーの作品には、帝政ロシアナチスドイツにおけるユダヤ人迫害をモチーフにした作品があるのです。実際には、ソ連時代もユダヤ人はいろいろと不利益をこうむっていたことは、エリ・ヴィーゼルソ連訪問記(白水社から出ていたのですが、タイトルを忘れてしまいました)にもみえるのですが、それでも、帝政時代よりはましだったということでしょうか。少年期の思い出と結びついたパーベリの「わたしの鳩小屋の話」には、当時の弾圧が描きこまれていて、この意味でかれらにとって、革命は歓迎すべきことだったのでしょう。それがどうして、ずれていったのかは、もっとよく知っておかなければならないことが多いように思えます。