止めないこと

アーサー・ケストラーヨハネス・ケプラー』(小尾信弥・木村博訳、ちくま学芸文庫、2008年、親本は1971年、原本は1960年)です。スターリン体制に反発した人として、名前だけは知っていたのですが、こうした科学読み物を書いていたとは、つい先だってまで知らなかったのです。
ケプラーの生涯を追いながら、彼の思考が万有引力の直前までいっていたことを、著者は明らかにしています。それが、観念的な太陽系への観念と、積み上げた観測記録との合間から生まれてきたというのも、思考のジグザグさを考えさせられます。
少なくともケプラーは、太陽系のシステムについて考え抜いた結果として、惑星軌道が楕円であることを帰結として認めたわけですし、その点では、コペルニクスガリレイとは、ちがっていたわけです。思考し続けることで、人は今まで気づかなかった世界にはいっていくのでしょう。