ふるまい

法事に参列したのですが、読経を聞きながら、つい古井由吉さんの『人生の色気』(新潮社、2009年)を思い出してしまいました。法事には、初めてあう親戚(祖父の兄の曾孫兄弟とその配偶者です)もいて、自分よりも世代が下のそうした人に会うのも珍しいものですから、古井さんのいう「上手に年をとる」ことについて連想がいってしまったというわけです。
古井さんは、不祝儀のときの身のこなしが、最近の中高年はなっていないと批判して、年をとることのむずかしさを語っているのですが、そういう身として、おのれを省みなければならないという立場にも、なっていくのでしょう。考えてみれば、うちのお墓のある寺の住職も、代替わりして、わたしよりも年下の方になっているのですから。
古井さんは、中上健次が若くないのに〈若手〉あつかいをされるのに苦労していたとも語っていますが、それもさもありなん、という感じです。