どこでも希望が

沢田五郎さんの『その土の上で』(皓星社)です。
沢田さんはハンセン病に罹患して、群馬県草津の施設に収容され、そこで暮らしています。その後失明したのですが、それでも短歌や小説を書いているとのことで、この本は小説集となっています。1960年代に書かれた作品が中心になっています。
表題作は、施設に収容されている女性が、ひょんなことから施設外の男性の子を宿し、周りからの妨害に負けずに、子どもを産むという話です。
ハンセン病の収容施設では、場合によっては「断種」させられていたということで、子どもを作ること自体がある意味でのたたかいとなったのです。そういうなかで、子どもの存在を希望とするすがたが描かれます。
ハンセン病に対しての国の政策の誤りはいくら指摘してもし足りないことではありますが、そうした中で創作を続けた人たちのことを、忘れてはいけないのでしょう。

たまたま大澤信亮さんのブログを発見したのですが、そこに『論座』の吉本×浅尾に対しての感想がありました。大澤氏は、吉本氏の「変化」を評価するのですが、どうでしょうか。吉本氏の「変化」は、「この浅尾という男も、現実の労働運動のなかで、日本共産党の理論の誤りに気づいて、共産党を離れるか、共産党を今の路線から変えてくれる可能性を期待していいだろう」と判断したから、浅尾氏の発言や行動を評価するようになったのではないでしょうか。大澤氏は共産党とは関係ないのでしょうから、それを評価されてもいいのですが、浅尾氏にしてみれば、吉本氏の「変化」がそういう動機からだとしたら、迷惑に思うのではないでしょうか。