あいも変らず

小林美希さんの『"正社員"の若者たち』(岩波書店)です。
前の記事の繰り返しではないことなのですが、中国に進出した日本企業ではたらく日本の若者がこの本のなかで取り上げられています。
それによると、日系企業は、「日本人である」だけで高給をあたえ、中国人ならば、たとえ北京大学とか、復旦大学だとかを出た、とても優秀な人でも、日本人なみの処遇にはしていないというところが多いのだそうです。
これひとつとっても、「自己責任」論のまやかしは明らかなのですが(中国人として生まれたことを自己責任とはいくらなんでもいえませんよね)、そういうふうに、出自で待遇に差をつけるというのは、かつての「満洲国」での、日本企業のありかたそのものではないかと思ってしまいました。
どうも日本人というのは、他民族との接触が上手ではなく、自分たちが優位に立つと思うと、日本式のやり方を平然と押しつけたり、または相手を露骨に見下したりするところがあるようです。江戸時代からのアイヌに対しての対応もそうですし、明治からの朝鮮に対しての動き、「関東州」や「満洲」での中国人への扱いなど、数え上げるのが情けないほどのものがあります。それが逆に出たのが、関東大震災のときの流言蜚語になるわけですが、あれも、日常の対応の裏返しということですから。
それが、21世紀の現在も、中国で行われているのなら、どこかでしっぺ返しを食らうのではないかと、気になります。