記憶と伝承

埼玉県知事の、自衛隊員を侮辱した発言は、いちおう「陳謝」したそうです。結局、こういう人にとっては、自衛隊の人は、人間の尊厳など考えないで上官の命令でなんでもするという、単なる捨て駒でしかないのでしょう。そういう人を衆議院議員にした民主党、埼玉県知事に推した人、そういう人が応援するさまざまなひと、そういう人たちに思い知らせてみたいとは思います。

さて、塩田庄兵衛さんの『歴史の道しるべ』(新日本選書、1973年)です。もともと新聞のコラム連載だったようで、ひとつひとつの文章は短いのですが、日本の近代の、民主主義を求める伝統のありかについてふれています。明治時代のストライキの話や、当時の社会主義を求めた人たち、足尾鉱毒事件でたたかった田中正造大逆事件でとらえられたひとびと、著者と同じ高知県出身の詩人槙村浩などの先人たちについても書かれています。こうした歴史や伝統についての、意識的な歪曲がおこなわれている(官房副長官など典型的だと思いますが)ときに、こうした過去のできごとを知ることは大切なのでしょう。

こうした本を古本屋で見つけるたびに思うのですが、新日本出版社はオンデマンド出版をしたほうがいいのではないかと思うこともあります。もちろん、何が何でも復刊しろというつもりはありませんが、(いまさら『風雪のあゆみ』を読みたいとは思わないし)、こうした本がうもれてしまうのはもったいないといつも思っているので、考えようはあるのではないでしょうか。