さかのぼる

『氾勝之書』(岡島秀夫、志田容子訳、農文協、1986年)です。
もともとの本は、前漢末の人、氾勝之の書いたとされる農書の『氾勝之書』を、『斉民要術』などに引用される佚文から復元して、石声漢という方が1958年に原文と英語訳とを刊行したものを、翻訳したのです。訳者は、山西省を訪れ、この本に書かれた当時の農業技術が現代にも通用するところがあると感じたようです。
もともとの本は、陝西省(関中)のことを書いたようなのですが、同じ黄土地帯のありようで、共通する点も多いのでしょう。この本のなかにも、科学的な部分と、迷信にかかわるような部分とがあるのですが、山西省を舞台とした趙樹理の『李家荘の変遷』にも、種まきの日が悪いからと言って、結局はタイミングを逸してしまった人物が出てきますが、そこまでひきずっているのかとも思ってしまいます。そういうところは、2000年経っても変わらないのかもしれません。