いいたいことを

楜沢健さんの『だから、鶴彬』(春陽堂書店、2011年)です。
鶴彬の川柳が描きだした世界を、彼の生涯と重ね合わせて記述しています。川柳というジャンルが、もともと社会への諷刺をおこなうのに適したものですから、そこに変革への志をこめた〈叛逆〉のものとなるとき、1920年代から30年代にかけての日本社会のありようが浮かび上がるわけです。当時の日本が、都会の繁栄こそ欧米諸国と肩を並べるようなものでありながら、裏には多くのしいたげられた人びとが存在していたわけですから、彼の川柳は求められていたものだったのでしょう。

『文学界』の8月号に津島佑子の最後の作品として、「狩りの時代」というものが掲載されています。前半部分だけで、完全版は8月初旬に単行本として出されるようです。