親として

映画「ソロモンの偽証」です。原作は読んでないので、ご了解を。
1990年代初頭の冬、中学校の屋上から一人の男子生徒が落下した死体となって発見されます。その真相をめぐって、その生徒の同級生で、第一発見者でもあった女子生徒が、周囲の協力を得て翌年夏に、学校内での裁判を開き、真相を究明しようとする作品です。
結果的に明らかになる〈真相〉はともかく、映画としては生徒たちをめぐるおとなたち、とくに親のありように注目するのがいいように思います。謎解きに関心がある方には、そんなに意表をつく展開ではなかったかもしれません。親の、こどもへのさまざまな向き合い方が、描かれています。ある時は子どもに対して理解しているつもりでありながら、逆においつめてしまっている親もいれば、子どもを信頼して、その自立をうながす親もいる、そういう観点からみることができます。
その点で、死んだ男子生徒の親が、作品(少なくとも後編)の中では〈はたらいていない〉のは残念でした。明らかになった〈真相〉の中での、親の受けとめ方も含めて、もう少し何かあってもいいのではないかとも思ったのですが。