一面化しない

木村茂光さんの『ハタケと日本人』(中公新書、1996年)です。
中世までの文献史料にあらわれた、畠作に関するものを分析し、日本の農業が決して水田でのイネ耕作にかぎられるものではなかったことを明らかにしようとしています。
最近こそ、アワやヒエ、キビに関して、栄養食品として関心がたかまりつつあるようですが、以前はひとまとめに雑穀と呼ばれてきました。そうした、白米信仰ともいうべき考え方に、異を唱えるということでしょうか。
人類が生き延びてきたのは、多様な食生活をもっていたからだときいた覚えがありますが、そこはグルメとしてではなく、もっと生きることとのかかわりで考えるべきことでしょう。クジラやイルカを食べることも、同じです。