どぶ板

上田七加子さんの『道ひとすじ』(中央公論新社、2012年)です。
上田さんは、不破哲三さんの妻です。学生時代に一つ年下の不破さんと知り合ってから現在まで、不破さんと生きる道をともにたたかってきています。
その回想記を、『婦人公論』誌に掲載したものをもとにした本だそうです。
不破さんは、1960年代はじめに、東久留米の団地に住んでいます。原武史さんの本にも描かれた時代です。そのころは、団地に住む女性として、上田さんは地域住民の利益を守る運動に参加します。そして、中選挙区の東京6区から不破さんが立候補することが決まり、墨田区に移ると、今度は議員の妻としての活動がはじまります。政党の中央幹部ですから、選挙中に自分の選挙区に帰ることも多くはありません。そのなかで、当選のために力をつくすのが、地元の組織です。そうした活動のあれこれが、この本の読みどころだといえるでしょう。

議員を支えるのは、その党や人に投票する人たちであり、その周りで活動する人びとなのです。それを、「しがらみ」と切って捨てる一部の党派がありますが、何を考えているのでしょうね。そういう考えが、〈憲法で国民を縛る〉意識とも共通するのでしょうか。