孫たち

神崎清『実録 幸徳秋水』(読売新聞社、1971年)です。
著者の長年の研究をもとにした評伝といってよいでしょう。秋水の伝記として、よみごたえがあります。〈事件〉がどのように作られていったのかということも、ていねいに論じていて、帝国憲法のもとでも、違憲の疑いが濃い法廷のありかただったことも調べられています。

それにしても、検事側で『事件』を作り出した平沼騏一郎の孫と、『被告』に仕立て上げられた新宮の医師大石誠之助と交友があり、大石を悼む詩をつくった与謝野鉄幹の孫とが、〈たちあがれ日本〉という政党で一緒にいたというのも、なんだろうなとも思ってしまいます。