言っているのか

谷崎潤一郎文章読本』(中公文庫、改版1996年、原本1934年)です。
中学のとき、旺文社文庫版を授業のテキストで使ったのですが、それ以来の再読となりました。
けれども、文章について何か言うというよりも、谷崎自身のことばに対する感覚の鋭さのほうに、今回は目がいきます。実際、これを読んだからといって、実用文がかけるようになるとは思えないのですが、谷崎が源氏の訳や、「細雪」につながる時期の著作だと考えると、みずからのことばのあやつりかたを再確認した本だと考えるのがよさそうです。
ドライサーの引用など、けっこう時代を反映していますし。