意表をついて

地方紙に連載されていた谷村志穂さんの「風は西から」が完結しました。(新聞によってはまだ連載中のところもあるかもしれませんが)
最初は、若い男女が出てきて、男は家業の居酒屋を継ぐための修業として、とりあえず大手居酒屋チェーンで正社員としてはたらくし、女性は食品会社の営業部門でスーパーに商品を卸していく仕事をしている、というところから話がはじまるので、かれらが結ばれて家庭をつくろうとする(またはそのプロセスで関係がこわれてゆく)という展開になるかと思っていたのですが、意外にも男は、その居酒屋チェーンの過酷な労働実態に堪えきれずに自死してしまう、そして女性は男の両親とともに、過労死に追いこんだ責任を追及するために裁判をおこすという流れになっていくのです。
過労死をめぐってのこの間の政府の対応はいかがなものかとも思うのですが、こうした作品からも、ひとつの流れは読み取れるのではないでしょうか。