名目

どこかで、團伊玖磨の『パイプのけむり』シリーズ(朝日新聞出版)が復刊されるとかいう話題を目にした(ちがっていたらごめんなさい)のですが、ふっと思い出したのが、著者は『パイプのけむり』のどこかで、祖父の團琢磨がテロにたおれたことを痛憤をこめて書いていたことです。当時の日本は、浜口雄幸犬養毅の現職首相をはじめ、井上準之助とか團琢磨とか、高橋是清とかの政財界の重要人物もテロにたおれた時代だったのです。治安維持法という法律は、テロを防ぐには何の効果もない、というかテロを助長するものだったのでしょう。現に、治安維持法の緊急勅令による『改正』を審議する帝国議会で、反対の論陣をはった山本宣治がテロに倒れたのですから、語るに落ちるというものでしょう。