つくりごと

近松浄瑠璃集 下』(日本古典文学大系、1959年)です。
近松の時代ものを収録しているのですが、江戸時代には、暗黙の規制として、同時代の政道をうんぬんしてはいけないというものがありました。だから、江戸は鎌倉だし、頼朝に畠山重忠梶原景時が登場人物の定番だったりします。近松作品も例外ではなく、源頼光平正盛とが同時代で、なおかつ正盛が頼光を陥れたとして断罪されたりと、極端なことをいえば、時代考証などどうでもいいという感覚になっています。
前提としての、枠組みがあれば、それ以外は逆にお目こぼしということでもあるのでしょう。史実との整合性よりも、その場の観衆との一体感を求めるには、考証は後回しということだったのでしょうか。
今は、通用しない発想かもしれません。