流れてゆく

中沢けいさんの『動物園の王子』(新潮社)です。
久しぶりの中沢さんの小説なのですが、少し日常に流れて、切れ味が悪いように思えます。50歳台の女性3人、高校時代の同期生という設定なのですが、日常と非日常の事件とのあわいが、すっきりしません。子どもや孫をめぐる問題も、3人のうちのひとりは、いつのまにか孫がいたという感じになっていて、意表をつかれたところも、やや作品世界の構築に甘さを感じます。
そういう作品もある、ということなのでしょうか。