クリスマスケーキ

新雅史さんの『「東洋の魔女」論』(イースト新書)です。
日紡貝塚チームがオリンピックで金メダルをとるまでの経過を軸に、紡績工場における企業スポーツが、レクリエーションからスポーツへと変貌していく過程を追っています。
貝塚工場では、選手たちも普通の労働者と同じように勤務して、寮でも選手たちがまとまることのないようにしてたのだそうです。もちろんそれが、世界の一流のレベルを維持するには猛練習が必要になるわけで、そこに日本的な根性論がはいりこむポイントでもあったわけです。ただ、いまのアマチュア選手の状況とはある意味では隔世の感もあるということでしょう。
そうなると、女性工場労働者でありながら、選手として注目される存在になることは、その後の関係性を変えていきます。1960年代の女性の結婚年齢をはるかに超えて彼女たちは選手生活を続けるのです。そして、引退後、主婦として家庭婦人バレーボールの普及につとめたといいます。ただ、主将だった選手は、時の総理夫人の紹介で自衛隊員と結婚したとか。当時の監督も政府与党から参議院議員になって1期つとめたとか、なまぐさい話もあるようです。
スポーツとは何なのか、オリンピックがふたたび日本にくるときだからこそ、考えなければいけないのでしょう。