交友

文學界』8月号に、高澤秀次さんが「近代女性文学の百年」という論考を載せています。樋口一葉岡本かの子宮本百合子野上弥生子を中心に取り上げています。なかでも、百合子と弥生子に焦点があたっているように見えました。ちょっと前にも、岩橋邦枝さんが野上弥生子についての評伝で、弥生子と百合子の交友をとりあげていましたが、1920年代の中産階級のありようを描いた作家としての、二人の仕事の重要性が、あらためて顧みられていることは、重要なことでしょう。西村賢太さんの私淑する藤澤清造が、1920年代の破滅型私小説の例だとしたら、それとは対照的な世界を見るということになります。