地名

森浩一さんの『萬葉集に歴史を読む』(ちくま学芸文庫書き下ろし、2011年)です。
万葉集の歌を史料としてとらえようとするもので、歴史書からこぼれそうなものをいろいろと引きあげています。
そこであらためて思うのですが、歌の中に出てくる地名も、つい最近まで郡なり市町村なりの名前としてけっこう遺存しているものだということです。そうした形で、古代と現代とをむすぶ(温泉のある伊香保など、表記まで全く同じです)ことができるのだと思うと、最近の状況は考えてしまいます。
このところ政令市になった、岡山も、相模原も熊本も、みんな区の名前は抽象的なものです。相模原など、『具体的な地名は使わない』という方針を明示して区の名称をつけました。大阪だって、これから区の数を減らすそうですが、これもどうなるかわかりませんよね。せめて駅名ぐらいはとも思うのですが、小郡が新山口になってしまうのですから、どうなるやら。