違いがあって

三村太郎さんの『天文学の誕生』(岩波科学ライブラリー、2010年)です。
コペルニクスイスラム科学がどう影響したかを概説したものなので、イスラムの考え方を確認するところにこの本の領域はあるようです。イスラム学がギリシアの科学を継承したのは、ペルシアのゾロアスター教とか、マニ教とかの、一神教ではない世界との対決のために、科学の方法論を受け継いだのだというのです。
そういわれると、なるほどとおもうのですが、議論を発展させるために、違いを認識した上での展開の必要性は、これからますます重要になってくるのでしょう。そのために、過去を知ることは大切です。

それにしても、プトレマイオスの離心円とエカントの導入の図(本書p7)には少しびっくりしました。惑星軌道は、もう少しで楕円にたどりつくところまでいっていたのですね。