橋のたもとで

今年のセンター試験の小説問題は、上林暁の「花の精」という作品からです。主人公が庭の月見草を除去されてしまったので、友人と今の西武多摩川線に乗って、多摩川べりまで月見草を採りにいくという場面です。川べりにあるサナトリウムをみては療養中の妻を思い、それと月見草とがリンクしていくという作品です。

ものの本によると、是政橋が完成したのが1941年と、この作品の発表(1940年)で、設定もそのとき(ドイツ軍がパリに迫っているという新聞記事が出てきます)なので、橋は仮橋で、橋番がいて管理しているという状態が描かれています。そうした、貴重な時期を切り取った作品でもあるのでしょう。川の向こう側を走る南武線が2両編成だというのも、時代を感じさせます。

 

鉄道がらみで別件。「テツぼん」で〈新宿〉をからめた謎解き話がはじまりましたが、ちょっと単純すぎるかと。すぐ○○区だとわかってしまいます。