根が深い

中根千枝『未開の顔・文明の顔』(角川文庫、1972年、親本は1959年)です。

著者が1953年から1957年にかけて、インドからヨーロッパに行った時の記録です。ベンガル地方や、アッサムなどの地域の報告は、なかなか興味深いものもありますし、それこそインパール作戦で日本軍が侵攻したところにも行っているところもあるのですが、今回紹介するのは、ロンドンでの経験です。

イギリス人の〈ルールを守る〉ことへの徹底の例として、こんなことがあげられています。「どんなときでも、そのエスカレーターに、人々は左よりに一列に一糸乱れず乗っているのである。右側があいていて、急ぐ人はそこをかけ足で登って行く」(p173)

60年前の話です。さて、どんなものでしょうね。