支配のすがた

小野容照さんの『帝国日本と朝鮮野球』(中公叢書)です。
日本統治時代の朝鮮における野球の状況を、中等野球だけでなく、社会人野球にまで広げて調査しています。むかし、金賛汀さんの『甲子園の異邦人』では、中等野球の朝鮮代表は〈京城中学〉に代表される日本人の通う学校がほとんどで、朝鮮人の学校はわずかしか出場できなかったということが書いてありましたが、日本人と朝鮮人との混成チームもいくつか甲子園に出ていることも、ここでは指摘されています。
また、そうした選手たちは、学校を卒業すると、地元の社会人チームに加わり、都市対抗予選にも参加していたというのです。
力量的には、職業野球に加わった選手がわずかしかいないというのが実態ではあったのですが、こうした混成チームをつくることで、いくらかでも〈ガス抜き〉にもなったのでしょうか。