秩序まで

松沢裕作さんの『自由民権運動』(岩波新書、2016年)です。
戦争のあとには、それまでの社会秩序がこわれ、新しい社会のありようが希求される、戊辰戦争のあとにおきた、新しい社会を求める動きがいわゆる自由民権なのだという意識で、当時の運動にかかわっていた人たちのありようを考えています。その点からみると、自由党の解散と秩父事件とで、その動きは終息し、明治の社会ができあがったということになるのでしょうか。
著者は、日露戦後の大正デモクラシーや、第二次大戦のあとの民主主義をめざす運動との類似で、こうした流れを位置づけようとしています。戊辰戦争から秩父事件まで17年、日露戦争から治安維持法まで20年、第二次大戦終結から安保闘争まで15年、そのくらいの時間をかけて、次の社会が生まれていくということになるのでしょうか。イラク戦争から、そろそろ15年です。