運がいいだけ

アレクシエーヴィチ『チェルノブイリ祈り』(松本妙子訳、岩波現代文庫、2011年、親本は1998年、原著は1997年)です。
今年のノーベル賞を受賞した方で、この本のような当事者からの聞き書きを主な活動の場としています。チェルノブイリから10年という月日を経て、いろいろと口を開いてくださった人たちがあっての本なのですが、当然のごとく、厳しい話ばかりです。
そう考えると、フクシマで、直接の被曝で亡くなったかたが今まで出ていないのは、ありがたいことには違いないでしょう。いやな話ですが、もしもと考えると、ソビエト連邦が事故からまもなく自壊したようなことが、あったかもしれません。そういう自戒をもたずに、オリンピックなどとは言えないように思えます。