何でもあり

平岡昭利さんの『アホウドリを追った日本人』(岩波新書)です。
19世紀末から20世紀はじめにかけて、太平洋上の島アホウドリを捕まえて大儲けをした人たちの姿を描いたドキュメントです。アホウドリは捕獲が簡単で、人間を恐れなかったので、大量に捕獲されたということです。南の島に上陸し、場合によっては漂着を装って他国がすでに領有している島にあがりこみ捕獲するなど、日本人が欲にまみれると何をするのかという、いい例ともなっています。
露伴の『天うつ浪』という未完に終わった長編小説が、無人島に漂着した男たちの話を書こうとしたことは知っていましたが、そのモデルの〈事件〉が、鳥の捕獲をねらったものだったというのは、予想の外のことでした。作品は海に出ないまま終わったと思いますが、そのうち、読みなおすとおもしろいのかもしれません。