天地のリズム

佐伯一麦さんの『月を見あげて』(河北新報出版センター、2013年)です。
仙台の新聞『河北新報』紙に掲載したエッセイを集めたものです。2010年の秋から連載をはじめたようで、今回まとめられたのは2012年の春までの分です。
佐伯さんは、旧暦の月の動きを生活の中に取り入れることを考えているようで、小正月の行事も、旧暦の満月のもとで行われるべきものではないかという問いかけもしています。自然の風物にも、そうしたリズムがはいっているのだから、人間のさかしらであれこれと自然に手を加えることの問題性を考えようとするのでしょう。
たまたま今年は、新暦の元日が旧暦の十二月の朔にあたります。朔の直前、夜明け前になると、東の空に細い月がのぼります。地球の光を受けて、おぼろに円形に見える月を見ると、太陽と地球と月との関係を、あらためて考えてしまいます。今年はどんな年になるのでしょう。