積み上げる

佐伯一麦さんの『麦の冒険』(荒蝦夷、2012年)です。
佐伯さんの紀行文や旅にまつわる文章を、仙台の出版社、荒蝦夷がまとめたものです。
その中に、仙台藩の時代につくられた運河、貞山堀をめぐる文章があります。これだけが、震災のあとに書かれたのですが、ほぼ海岸沿いに阿武隈川から名取川をへて七北田川へとつながる運河は、伊達政宗の時代につくられはじめたのですが、その間に、慶長津波の影響を受けて、工事が中断したようなのです。そうしたアクシデントにも負けず、運河は完成したようなのですが、そうしたできごとは、今回の地震がなければあまり話題にもならなかったかもしれません。
かつて大河ドラマ政宗が扱われたときにも、そうした災害の場面は出てこなかったでしょう。来年は戦国時代ですから、長浜城地震や、伏見城地震も、それなりの重みをもって描かれるのでしょうか。そうしたところも、みていく必要はあるのでしょう。佐伯さんの文章からは離れてしまいましたが。